
こんにちは!現役数学科ブロガーのかんまるです!
この記事では、現役数学科である筆者が東京出版のマスター・オブ・整数をレビューしていきます。
マスター・オブ・整数の難易度は?分かりやすい?どんな人におすすめ?いつ頃勉強するのが良い?などの疑問にお答えしていきます。
- 内容が本格的な分、整数の楽しさを存分に味わえる1冊
- 整数の苦手克服にも使える
- 受験生の最高レベルにまでステップアップ可能!
この受験参考書レビューシリーズでは、僕が実際に受験期に使っていた参考書をレビューしています。他の参考書レビューはこちらからどうぞ。
マスター・オブ・整数の基本情報

タイトル | マスター・オブ・整数 |
著者 | 栗田 哲也、福田 邦彦 |
出版社 | 東京出版 |
タイプ | 参考書・問題集 |
ページ数 | 112ページ |
価格 | 1,205円 |
マスター・オブ・整数の特徴は?

マスター・オブ・整数は、本のタイトルの通り整数分野をマスターするための参考書・問題集です。大学への数学シリーズでお馴染みの東京出版の参考書になります。そんなマスター・オブ・整数の特徴を見ていきましょう!
マスター・オブ・整数の難易度
まずは難易度から。端的に言うとめちゃくちゃレベルが高いです。そもそも整数分野は受験数学において非常に奥深く、難しいため、それをマスターするとなると必然的にレベルは上がってしまうわけです。
マスター・オブ・整数の構成
マスター・オブ・整数は以下の4部構成になっています。
内容 | ページ数 | |
第1部 | 系統別基礎問題集 | 50ページ |
第2部 | 初等整数論の重要部分の概説 | 14ページ |
第3部 | 大学入試の実戦演習 | 32ページ |
第4部 | 興味深い問題の演習 | 9ページ |
第1部 系統別基礎問題集
第1部では、整数の問題を16系統に分け、それぞれの系統に5問前後の問題が収録されています。
§1 | 素因数分解の利用(1) 約数の個数 |
§2 | 素因数分解の利用(2) 素因数の個数 |
§3 | 最小公倍数と最大公約数 |
§4 | 周期性・対称性 |
§5 | オイラー関数 |
§6 | 余りの処理 |
§7 | ユークリッドの互除法 |
§8 | 余剰による分類 |
§9 | 倍数の判定法 |
§10 | ax + by型の整数と、一次の不定方程式 |
§11 | 積の形の不定方程式 |
§12 | 必要条件からしぼりこむ |
§13 | 式の変形 |
§14 | ピタゴラス数 |
§15 | 合同式に慣れる |
§16 | 循環小数、二進法 |
やはり整数特化の参考書ということで、かなり細分化されています。これだけのパターンを抑えておけば、どんな問題に対してもアプローチできる力が身につきます。
各問題はA~Dの4段階で難易度が設定されています。系統別”基礎”問題集という名前の第1部ではありますが、Bくらいから結構難しいです。CやDは普通にめちゃムズです。
第1部は整数問題を解くパターンや技をしっかり身につける目的があるので、初見で解けない問題が多くても安心してください。何周も繰り返してしっかりパターンや技を吸収することが重要です。
第1部を解くだけでも、整数分野をかなり強化することができます。
第2部 初等整数論の重要部分の概説
第2部は公式・イメージ・手筋がまとめられており、内容は本格的です。
ただレベルは高いものの、どれも整数問題を解く上で役に立つ内容ばかりです。そして何より整数の面白さを実感できる場所でもあります。勉強の合間に読み物的に読むのがおすすめです。
高校時代、当時僕が数学科に進むきっかけにもなった数学にかなり精通している学校の数学担当の先生でも知らないような内容が載っており、びっくりしたとともに、やはりレベルが高い参考書なのだと再認した記憶があります。
第3部 大学入試の実戦演習
第3部では、大学入試の過去問から厳選された難易度の高い18題とそれらの関連問題が収録されています。出典大学を見てみると、東大・京大・東工大を始めとする難関大の名前がズラリ。
1部と2部で身につけた解法やパターンを、どのように実践に落とし込むかを鍛えられます。まぁめちゃくちゃ難しいです。
本書内でも紹介されていますが、第3部をすらすら解けるようになれば受験生としては最高レベルの実力の持ち主といえます。
第4部 興味深い問題の演習
第4部はもはやオマケです。趣味レベルです。数オリの予選問題を始めとする、ほとんどの受験生にとっては必要ないレベルの問題が18題収録されています。
マスター・オブ・整数の分かりやすさ
マスター・オブ・整数は、そこそこ丁寧です。大学への数学特有の、数学好きに刺さる解答解説といった感じです。
マスター・オブ・整数はどんな人におすすめ?やる時期は?
マスター・オブ・整数は、非常にレベルの高い参考書ですが、整数を強化したい人の多くにおすすめできる参考書です。4部構成になっており、実力や目的に合わせて使い方を変えることができるためです。
具体的には、
- 最難関大志望者や数学に自身がある人 → 第3部まで
- ~難関大志望者や自身はなくても整数を強化したい人 → 第1部だけ
のように使い分けることができます。
やる時期としては、「入試の核心 標準編」や「数学重要問題集」レベルの網羅系の問題集を終えた後くらいがおすすめですね。マスター・オブ・整数は第1部のA問題でも受験基礎~標準くらいのレベルがあるため、数学の基礎を1通り固めた状態の方が良いです。
とはいえ、「本当にマスター・オブ・整数は必要か?」さらには「整数分野に限定して対策することが本当に必要か?」というのは各自でしっかり吟味する必要があります。志望大で整数が頻出な場合や、いつも整数で得点を取れない場合は十分に使う価値があるでしょう。
マスター・オブ・整数に変わる他のおすすめ参考書は?
マスター・オブ・整数以外にも整数特化の参考書や問題集を紹介しておきます。
整数 分野別標準問題精講
分野別標準問題精講シリーズの整数版です。マスター・オブ・整数に比べて比較的基本的な問題から収録されています。計87題収録されています。
2週間で完成! 整数問題
「ハッとめざめる確率」を始めとする数々の名著を生み出している安田 亨先生の整数特化問題集。教科書レベルから上級問題までを2週間で完成させようという問題集で、収録問題数は47題。値段が安いのも良心的。Amazonで試し読みできます。
マスター・オブ・整数のレビューまとめ
マスター・オブ・整数は、まとめると「整数を極めたい人だけでなく、苦手克服にも使える最高レベルの整数対策参考書」です。
第1部だけ、第3部までなど、使う人の実力や目的に合わせて使えるため、レベルの高い参考書にしては多くの人におすすめできます。
そして他の参考書と比較して、内容が本格的な分、整数の楽しさを味わえる1冊となっています。気になる人は買って損はないでしょう。
この受験参考書レビューシリーズでは、僕が実際に受験期に使っていた参考書をレビューしています。他の参考書レビューはこちらからどうぞ。
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