名機・第6世代iPad miniは、一部のファンに不安を募らせるとある欠陥を抱えている。それが”ゼリースクロール現象”だ。
これは縦方向に本体を使用しているとき、上下のスクロール時に斜めに歪んで見えるという現象である。バグではなく仕様らしい。
結論からいえば、“意識すればそう見えるが、実用上全く問題ない”というのが私の考えだ。
が、Googleでは毎月1,000人~10,000人の人が「iPad mini ゼリースクロール」と検索しては、その不安を払拭しようとウェブ上をさまよっているようだ。このページを見ているあなたも同じか、もしくは似たようなワードでここにたどり着いたのでは。
この記事は、スロー動画を使いながらゼリースクロール現象を検証している。
不安を抱えたあなたにゼリースクロールを体感してもらい、あなたにとって第6世代iPad miniがありかナシかを判断する材料にしてもらえれば幸いだ。
本日の主役
iPad miniのゼリースクロール現象 スロー検証動画
こちらがiPad miniでゼリースクロール現象を検証した動画だ。
1分25秒の動画で、ウェブサイトや無数に並んだ横線のスクロール時の見え方をスローやコマ送りで見ることができる。
iPad miniゼリースクロール現象 検証結果
まずはウェブサイトでの検証。画像は動画内で上方向にスクロールしている際の1コマだ。
一行目の文に着目すると、右側の「その証拠に」の部分は残像がなくスクロールされきっているが、「Amazonで買い物をしている。」の部分では残像が見える。そして左側の「ブロガーという、、、」の部分はまだ画面移動が始まっていない。
他の部分を見ても、右上方向に傾いているのが分かる。
こちらは横線での検証時の1コマ。赤色の基準線に対して横線の右半分が上に顔を出している。
これがゼリースクロール現象の実態だ。
iPad miniでゼリースクロール現象が発生する理由
ディスプレイに映し出される映像は、ヒトの目からすればほとんど連続的に見えるが、実際は絶え間なく映像が切り替わっているわけではないという基本的な話からしておく。
iPad miniでは60Hzのリフレッシュレートのモニターが採用されている。これは1秒間に画面を60回切り替えることができるという意味だ。約0.0167秒に1回画面を切り替えることができると言い換えても良い。
以下のように考えると分かりやすいかもしれない。
- 画面を切り替える
- 約0.0167秒休憩する
- 1と2の繰り返し
実際は常に画面が切り替わっているわけではないが、ごく短いスパンで画面が切り替わることによって連続的に見える映像を楽しむことができる。
そして「画面を切り替える」と簡単に書いたが、これも機械にとっては一筋縄ではない。第6世代iPad miniの場合、2,266×1,488個、すなわち3,371,808個のピクセルを約0.0167秒に1回という超短いスパンで、毎回求められる色を1ピクセルずつ正確に出力しなければならないわけだ。それも毎回約300万個のピクセルを、ヒトの目に違和感の無いように同時に。
ただお察しの通り、画面の上から下まで、右から左まで同時に約300万個の全ピクセルを書き換えることは難しい。第6世代iPad miniでは実際、画面の右から順に切り替わっていく。これがゼリースクロール現象が発生する理由だ。
実際にiPad miniを使ってみてゼリースクロール現象が気になるか
さて、ゼリースクロール現象の実態がわかったところで、実際に使ってみてどう感じるかという部分の話に入る。
冒頭にも書いた通り、私の意見は”意識すればゼリースクロールを感じるが、実用上は全く問題ない“だ。
普段から縦向きでネットサーフィンやTwitterの閲覧をヘビーにしているが、不満に思うことは無い。「慣れもあるのでは?」と思う方もいるだろうが、使い始めたときから感想は同じだ。仮に慣れだったとしても、気づかないうちに慣れていることになる。
もう少し具体的に話す。
iPad miniでの需要が大きいであろう動画と電子書籍の閲覧に関して。
まず動画だが、閲覧中はスクロール動作を行わないことや、ほとんど本体を横向きで閲覧することから気にならない。
電子書籍の場合、縦持ちであればスクロールの方向は横なので問題ない。横持ちしている場合でも、スクロールする時間より、静止して文字を読む時間の方が圧倒的に長いのでこちらも気にならない。
ただ、ゼリースクロールをストレスに感じる方も一定数いるようだ。例えば第6世代iPad miniで本格的に絵を描く人にとっては、画面移動時に線がずれて見えるのはストレスだろう。
自分の用途に合わせて購入を検討してほしい。
どうしてもiPad miniのゼリースクロールが気になる方へ
ここまで読んで、やはりゼリースクロール現象を受け入れられないという方もいるだろう。そんな方のために第6世代iPad miniと同じ価格帯で同じようなスペックを持った他のタブレットを紹介する。
代替候補1:第5世代iPad mini
残念なことに、第6世代iPad miniに置き換えることができるタブレットは、他世代のiPad miniくらいしかない。それくらいタブレットはApple一強なのである。
ひと世代前の第5世代iPad miniの場合、縦方向のゼリースクロール現象は発生しない。…が、横向きには多少のゼリースクロール現象が発生するようだ。他にもApple Pencilが第1世代にのみ対応、フルスクリーンではないデザインなど、好みは分かれるだろう。
代替候補2:第4世代iPad Air
こちらも現行のiPad Airの1世代前のモデルだ。Apple Pencil第2世代対応で、第6世代iPad miniとほぼ同等のA14チップ。本体サイズが大きくなることを無視できるのであれば最善の選択と言える。
1世代前のiPad Airということもあり、価格も控えめで中古品も多く出回っている。
もしあなたが生粋のiPad miniファンで、ゼリースクロール現象が理由で第6世代iPad miniの購入を見送っているなら、中古の第4世代iPad Airでとりあえず過ごして、ゼリースクロール現象が改善された自作以降のiPad miniを購入するという手もある。
第6世代iPad miniを実際に触ったことがある方は、コメントにてゼリースクロール現象の感想を共有してくれると嬉しい。
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